どんな思想を持とうと自由だけども、無知はいけません。僕は自由民主党から日本共産党まで多様な政治家の知り合いがいますが、いわゆる本物の右翼思想家というのも、理解できないわけではありません。彼らは彼らなりに、日本人の誇りを持ったこの国のあり方を、どうやったら作れるかを深く考えているからです。ネトウヨはいけません。どうしようもなく知性が低く、彼らがはびこることによって、この国が亡国の危機に瀕するからです。

まずネトウヨとは何なのか。定義するとネット上で右翼的な発言をする人、となるでしょうが実際には彼らは右翼的な発言はできていません。彼らネトウヨ自身が右翼を知らないからです。彼らネトウヨは、もっぱらアンチ・リベラル、アンチ・東アジアの外国、アンチ・マスコミと言う立場を取り、リベラルな発言に対して攻撃を加えるという活動をしています。

ネトウヨの大きな特徴はまず「匿名」であることが挙げられます。ネット上での匿名性を最大限に生かして、リアルな社会ではとても口にできないようなヘイトスピーチ、誹謗中傷などを書き込み、拡大自己(自分が偉くなったかのような錯覚による快感)で満足しているのです。叩く相手は朝日新聞であったりNHKであったりとメジャーな既存メディアで、それらを叩くことで自分も同レベルで議論している気分になれるからです。マスコミのことをマスゴミと呼ぶのも彼らの特徴です。

攻撃の仕方はワンパターンで「反日」「売国奴」と、他にボキャブラリーがないのか、と思うほど決まり切った単語の使い回しです。これらの言葉を使うのに頭脳は使いません。快感を覚えつつ、この決まり文句をぶつけていれば済むのです。そうして彼らは、ますます反知性主義に陥ります。自らの依って立つ思想はというと「安倍政権万歳」と、これまた決まり文句の使い回しです。安倍政権に批判的な記事が出るたびに「反日」「売国奴」と数に任せて大量にマルチポストします。このマルチポスト(同じコメントを複数の投稿サイトに同時に書き散らすこと)もネトウヨの特徴でしょう。

彼らネトウヨは、安倍政権万歳と叫ぶくせに、現政権がどんな政策をとっているかなど、ほとんど知りませんし、知ろうともしません。ただ与党側に立って、与党側の論客(論客と言うほどでもないが)になることで、自分は強いものと一体化している、強い政府を自分が支えているのだ、という快感が得られるのです。これまた拡大自己の錯覚です。真剣に政策を論じることもせず、拡大自己がもたらす快感だけでネトウヨは増殖していきます。僕はそれが恐ろしいことにつながるような気がして、仕方がないのです。

ネトウヨが増殖することの恐ろしさは、日本が右傾化することではありません。ネトウヨの影響力ごときで世論はさほど動かないでしょう。本当の恐ろしさは、拡大自己のもたらす幻覚に酔いしれ、反知性主義に陥る、国民が増えることです。つまり日本人全体がバカになっていくということです。日本人の多くにこのように反知性主義が広まっていくと、この国家はシロアリにやられた家のように、足下から崩れ去ります。愛国心の強い僕は、ひたひたと忍び寄る、この愚民化の罠を、黙って見逃すわけにはいきません。

国民がバカになると、もはやどうしようもないからです。バカな国民からはバカな政治家しか選ばれないし、バカな政治をされてもバカな国民は指摘することもできません。この国家の崩壊です。シロアリのように恐ろしいネトウヨの増殖は、歴史上かつてありませんでした。インターネットやSNSがなかったのですから当然です。なんと今、人類史上初のネットによる愚民化が始まっているのです。

一方ではネットがあるからこそ知性を持った人が知性を持った人とつながり、まともな研究会のようなものを開くことも可能です。そこに唯一の救い出される道を見いだすことならできます。ネトウヨの蔓延による一億総白痴化が起きる前に、なんとしても心ある人のネットワークで、インターネットの健全化を図らねばなりません。2ちゃんねる(今は5ちゃんねる)のような匿名掲示板を情報源にするような、とんでもないメディアリテラシーの低下は防がねばなりません。

安倍政権になってから、ネトウヨの質が急激にひどくなったように感じるのは僕だけでしょうか。拡大自己の快楽に溺れてシロアリのように増殖するネトウヨの天下になるのか、賢人たちの連帯によるまともな議論の場になるのか、日本は今岐路に立たされていると思います。

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ysugie


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3 thoughts on “ネトウヨが静かに日本を滅ぼす

  1. まさに仰る通りだと思います。
    日本人は過去の歴史をきちんと知り、ちゃんと向き合い、二度と愚かな過ちを犯さないようにするべきだとも思います。

    そうしてこそ、初めて我々は過去の歴史から学んだと言えるのですし、そうしてこそ知性と良識ある人間であると言えるのですからね。

    さらには、フィリピンやインドネシアなどの東南アジア諸国や欧米にも反日感情を持った人達がいる事も知るべきでしょう。

    かつて日本は中国や朝鮮のみならず、東南アジア諸国でも残虐非道の限りを尽くしたのですし、アメリカやイギリスなどにも戦争を仕掛け、多くのアメリカ人やイギリス人達も殺したのですから・・・。

    世界の人達が日本をどう見ているのかを知る事も大切だと思います。
    そうしてこそ、今の世界における日本の立ち位置や、これから日本が進むべき道が見えてくると思います。

    1. ブラケットさん、コメントありがとうございます。

      日本人が過去の歴史をきちんと知り、ちゃんと向き合うことが大切だと言う点は、私も同意します。日本がアジアを巻き込み、アメリカなどを相手に無謀な戦争をしたのは、愚かだったし、このような悲惨な歴史は繰り返してはなりません。

      しかし戦争ですから、互いに殺し殺されたのは、当然のことです。東南アジア諸国や欧米にも反日感情を持った人が多くいるというのは、私の経験上、あまり感じていません。反日感情は主に中国と朝鮮半島に、一部見られる程度です。そして中国のそれと朝鮮半島のそれは大きく異なるようです。

      太平洋戦争には様々な側面があります。ブラケットさんのように、一方的に日本が世界に残虐非道を仕掛けた、という考え方は、敗戦国としての自虐史観に陥る危険があると思います。あの悲惨な戦争がなぜ起こったのか、軍部はなぜ暴走したのか、世界の各国の思惑はそれぞれ何だったのか、それらを多角的に分析することが大切です。

      反日感情もまた複雑です。現在の中国や韓国による反日運動は、中国に関しては中国共産党が長年行ってきた反日教育の影響が大きく、韓国に関しては政治的戦略的要因が大きいと思います。

      単純に日本が悪者だった、という考え方は、裏を返せば、単純に日本は悪くなかった、と主張するネトウヨの発想と同じレベルになってしまうので、一方的な敗戦国史観からは脱出する必要がありそうです。

  2. ネトウヨの現状をチェックするためにネットサーフィンしていたところ、このサイトにお邪魔しました。
    私の感覚ですと、ネトウヨが表面的にネトウヨを辞めるケースが目につくようになりました。無論、相変わらずネットで真実であり、中立気取っているぶん余計に性質が悪くなったと言えます。
    しかし概ね、世間からの風当たりが強くなっていると予想でき、まずは歓迎すべきことではありましょう。
    しかしながらネトウヨと安倍政権の残した影響は計り知れません。例えばネトウヨを敢然と批判している者でさえ、意識的にせよ、無意識的にせよ、歴史修正主義的な発想を持ったり、堂々と自虐史観と論評してしまったりしていることでしょう。これではネトウヨ以前に戻るのは難しいと判断せざるを得ません。

    日本がアジア・太平洋戦争に至った経緯は以下の通りです。
    江戸幕府は健全財政と福利厚生、必要以上の租税をとらない体制で、日本は国内マーケット創出の契機がありました。
    しかし明治新政府はクーデターと政権奪取後の反乱鎮圧によって歳入の5倍から6倍の歳出を迫られました。また不換貨幣の発行によって、財政的信用をなくしました。明治新政府は借款を得るために当時の資産家と取引しました。即ち農民の土地利用権を停止し、土地所有権を資産家に配ること、逆進性の高い課税によって農民を破産させ、低賃金労働者にすることによって殖産興業政策を進めることでした。これが地租改正と財閥誕生です。
    当然ながら、江戸幕府体制で萌芽が見られた国内マーケットの創出は見る影を失い、農民は小作農や低賃金労働者となって、生存ラインに立つのが基本となりましました。
    自発的な国内マーケットの創出は有り得ない体制になったので、外国にマーケットを求めるために植民地を獲得する他なく、政治社会問題の解決には総力戦を起こすことによって国家社会主義を成立することしか選択肢がなくなり、アジア太平洋戦争と至りました。
    日本の国内矛盾はGHQによる、農民解放、憲法制定、アメリカの基礎技術の特許料免除によって、概ね改善され、現在と至ります。
    多角的に検証され尽くされていた話であるので、これが書けなくては東大合格は難しいでしょう。

    そもそも加害者が被害者に対して「証拠を全て破却したから犯罪の証拠はない」と言ったり、他国政府に対して「法の支配を無視しろ」と要求したり、軍用機で低空接近して悪びれなければ、反感を持たれて当たり前であり、そのような差別的な主張がネトウヨの影響で当たり前であるかのように流布すれのは、衆愚政治の始まりでしょう。他国の真摯な反応を政治的経済的になどと揶揄するなど、いい例でしょう。
    我々は衆愚政治に陥らないためにも、ネトウヨをきっかけに真に戦前の歴史を「多角的に」学び直す必要があるのでしょう。

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