沖縄米軍基地の辺野古移設は止まるわけがない
いまさらのようですが沖縄の米軍普天間基地の辺野古への移設問題。僕は前回の日記で「スキューバ・ダイビングが好きな僕は、美しいサンゴ礁が無粋な軍事施設に改造されるのを悲しく思っている」と書きました。それはそれで個人の感傷としては正しいのですが、普天間基地の移設問題に関しては、意見は別です。賛成か反対かと言われれば賛成です。ことは軍事バランス、人間様の生き死にの問題です。サンゴがきれいだとかジュゴンが可哀想だとか、残念ながら言っている余裕がありません。
日本にある米軍基地のおよそ7割が沖縄県に集中していることを考えると、そのデメリットを甘受してくださっている沖縄県民のみなさんには頭が上がりません。しかし沖縄でなければ基地として機能しない、地政学的に決定的な要素がある以上、県民のみなさんには頭を下げて補助金を出して我慢してもらうより仕方がないと思うのです。東京で良ければ替わってあげたいけど、東京では役立たずなのです。兵器も進化したのだから、グアムやサイパンに引き下がってもよかろう、という論者もいました。しかし海兵隊は即戦部隊です。フロントラインは1メートルでも前に置くのが軍事の基本です。
アジアと太平洋の地図を見れば、そして配備されている米軍の位置を見れば、米軍が要所要所で中国に対して戦争の抑止力になるように基地を配備していることが一目瞭然です。なぜ中国をそんなに警戒しなければならないか、については昨日のブログに書きました。中国とロシアをアメリカが軍事的にけん制するのは、世界の軍事プレゼンスのバランスを取る上で、欠くことのできない行為であり、それによってアジア太平洋地域の国際平和が保たれていると言っても過言ではありません。地政学的なものはどうすることもできません。そこに住んでいる限り甘んじて受けるしかない問題です。極論すれば火山の河口付近に住んでいれば、噴火の危険を覚悟しなければならないのと同じです。
肝心の沖縄県の住民は、正直なところどう考えているのでしょうか。これがまた伝え聞くところによると種々様々な意見があり、曖昧なニュアンスです。原則反対な人が多いということですが、2〜3直接聞いたところによると、まちまちな印象を拭えませんでした。大した一次情報がないので、僕がダイビング旅行中によくお世話になる、居酒屋のオヤジさんに聞いた話を代表として書いておきます。
その店は那覇に近い波浮港にあり、新鮮な魚介類と泡盛が楽しめる店です。普天間基地とはかけ離れた位置にあり、むろん辺野古とは反対側の海岸に立地しています。適度に泡盛をいただいた僕は、美味しいフーチバジューシーという雑炊を食べながら、ぶっちゃけ米軍基地のことをどう考えているのか、そのオヤジさんに質問してみました。僕と年齢の変わらない漁師上がりの板前さんです。
「基地はねえ、もう何十年も沖縄にあるから、切っても切れないものなんですよ。基地で食べてる人も大勢いるしね」
「危険じゃないかって? そりゃあ普天間基地みたいに住宅のすぐ近くにあるとうるさいわな。あんなもん、もっと沖に作ればいいんですよ。兄ちゃんもダイビングするなら分かるだろうけど、陸から3キロも離れれば騒音なんかしやしない。事故があっても影響を受けないしねえ」
性悪な女房と長年連れ添ってしまった半生を振り返るような、諦めにも無関心にも似た表情でオヤジさんは語ってくれました。
普天間基地周辺の騒音の凄さは僕も耳にした。目の前の基地内で黒煙が上がるのも目にした。僕が直接見聞きした沖縄の実態は以上です。また別の居酒屋にいって話を聞けは、また違う答えが帰ってくるかもしれませんが、僕はそのオヤジさんの素朴な語り口調に、妙に納得してしまい、それ以上各方面に取材する意欲を失いました。長年にわたって米軍基地とともに暮らしてきた地元民にとっては、反対か賛成かと議論する感情さえ、湧いてこないのが正直なところかもしれない。
結論が最初に出てしまった僕としては、鳩山元総理の県外移転約束の時も、虚しい政治ショーにしか見えなかったのが正直なところです。
###
ysugie
すぎぴょんのWebログをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。